2.自閉症スペクトラムの診断と特性 (2/2)

*ローナ・ウィングによる<アスベルガー症候群の3主徴>
 (1)社会的相互作用 social interaction の障害

    ・孤立しやすく、それを苦痛にしない
    ・社会的手がかりが見つけにくい
    ・他者との関わりや社会的要求に応えようとして緊張や苦悩する
    ・思春期には自分も周囲のように仲間関係を持とうとするが方略がない
    ・悪意無く社会的に不適切なふるまいをしやすい

 (2)社会的コミュニケーション social communication の障害

    ・会話能力が豊かでも、形式的、衒学的(妙に物知りな、大人ぶった)な語調になりやすい
    ・語調の違いで気分や状況を判断したり、TPOに合った語調を使うのが困難
    ・サインやゼスチャー、表情などの使用や解釈が拙劣
    ・言葉を字句通りに理解する。ジョークや皮肉の通じにくさ
    ・言葉の暗示的、比ゆ的意味の把握の失敗。たとえ話が通じない

 (3)社会的想像力 social imagination と柔軟思考 flexibility of thought の欠如

    ・特異な興味関心に没頭
    ・ルーチンが決まったことへの固執
    ・創造的に考えたり遊ぶ能力の弱さ
    ・般化や視点変更の困難さ

 (4運動の不器用さ motor clumsiness)

*ギルバートの<アスペルガー症候群の6徴>

 1.社会性の欠如(自己中心性=自己中心的視点)
   (中心とする自己すらない。幼児的な見方しかできない)
 2.興味関心の狭さ
 3.反復的な決まり・・・自分にも他人にも
 4.話し言葉と言語の特異性
     言語遅滞の既往  表面的に熟達した言語表現  形式にこだわる表現
     音韻や声の調子の奇妙さ  暗喩・比喩的な意味理解の弱さ
 5.非言語コミュニケーションの弱さ
     身振り・表情の使用の少なさ  不適切な非言語的表現  視線や距離
 6.運動の不器用さ




            II.心理機能的な障害特徴

   (1)感覚ー運動的な統合・抑制機能の障害

       奇妙な常同運動やつま先歩き  巧緻運動や微細運動の拙劣さ
       聴覚過敏、視覚の過敏さ、触覚過敏、痛覚麻痺、相貌認知の障害

   (2)認知機能のアンバランス/記憶・思考の特異性

       聴覚ルートと視覚ルートの能力差  見えるものはわかりやすい
       機械的記憶の良さ  意味把握や般化の弱さ  作業記憶の弱さ
         カメラ・アイ  ビデオ的記憶  高機能での聴覚的記憶の良さ
         時間軸の混乱(タイムスリップ、フラッシュバック、緊張症)
       抽象的思考の弱さ  柔軟思考の困難さ  視覚的思考 visual thinker
       重度知的障害から天才的知覚知能まで 高機能でも学習障害が稀でない

   (3)中枢性統合の障害、シングルフォーカス、トンネルビジョン

       限定的な情報から本質や全体像を把握することの困難さ
       木を見て森を見ない  同時に複数の情報が処理できない
         一点凝視した見方   細部への過剰な関心
           部分的な情報から全体的情報へと働くのが普通だが、
           その機能が弱い。積み木を模倣できても、物語の組立ては苦手

   (4)実行機能の障害、問題解決スキルの弱さ、衝動性

       企画→行為の保続、感情制御→過剰刺激の遮断→終了の認識と点検
        のプロセスが円滑に進まない
        (過去の経験に基づいてうまく出来るか点検したり、終わりは終わりで
         踏ん切りをつけることができるか)
       衝動的に思いつきや刺激で行動
       刺激や情報と行為(行動)の間に思考判断が入りにくい  反射的
       問題解決に複数の選択肢が思いつかない  思考の固さ
         3+5=?には答えられても、X−Y=8は答えにくい

   (5)曖昧さの混乱 → イメージの弱さ、空想と現実の混乱

       ファジーなことはわからない  表情や社会的手がかりの把握が下手
       基本的に1:1対応の理解で、境界が不鮮明なことは理解しにくい
        言葉通り、文字通り、規則通りに理解 → 暗喩、皮肉、譬え話しはダメ
        暗黙知(社会の常識や書かれないルールなど)はわからない
        ちょっとだけ、少しばかり、もう少しあっちに やがて・・・・?
        ホントとウソ、本気と冗談や遊び、空想と現実の境目・・・?

   (6)「心の理論」障害、対人的理解や心の理解の遅れ

       相手は別の考えや感情をもつことの理解ができない
       思考や感情について考え推測することが苦手
       自他の意図、立場、感情に気づきにくい  客観視しない
       自分の言動の周囲への影響に気づきにくい

   (7)情緒的制御の困難さ、ストレス耐性の弱さ

       直情的  衝動的  パニック(メルトダウン)  情緒的不安定さ
       気分転換が下手  不快さがストレスとして蓄積しやすい → 悪化、退行

   (8)視点変更の困難さ、般化の困難さ

       同一性を保持したがる  変化に弱い  ワンパターンの見方
       同じ問題解決の方法で他の方法を思いつかない  作業記憶の弱さ
       TPOに合わせにくい  他の刺激につられると元の活動に戻りにくい




            III.脳科学的知見からの示唆や推測


人間の脳の発達は、10歳までに大体出来あがる。
従って、幼児期から小学校低学年の間が最重要。

Macleanによる三位一体の脳

新哺乳類の脳(大脳皮質)

旧哺乳類の脳(大脳辺縁系)
(感情・記憶)

爬虫類の脳
(生物的基本)

普通はこれらのバランスが取れている。
自閉症の場合、一番下の爬虫類の脳が
表出しやすい(常同行動など)

自閉症のこだわりは、大脳基底部(爬虫類の脳)に
よると考えられ始めている。そのため、作業をして
いる時には制御がきいているが、休憩等で自由に
なると、途端に常同行動が働いてしまう。
従って、スケジュールがとても大事。
自閉症者にとって自由は逆に残酷なことである。


要素的機能の構造

感 覚 → 認知・情緒 → 運 動(人に向けられるもの・ものに向けられるもの)


自閉症の場合い、視覚過敏の為に認知する前に反応してしまう。
 例)叱られる → 攻撃された → 暴力
   この場合、叱られた時に反省してもらう構造を作る事が大事

認知・判断の部分を訓練せずに野放しにしていると、
感情で動くようになってしまうので、判断をして
行動する力を育てていかないといけない。




              



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